のどの病気

のどの病気に関して代表的な病気をまとめました。受診前の参考や、受診された後の確認としてお読み頂けたら幸いです。

よくご質問を頂くことに関してはQ&A形式でまとめています。

扁桃炎

のどには扁桃組織が円状に分布しています。口をあけると見える一番大きな扁桃の事をよく”扁桃腺”といいますが、正式には「口蓋扁桃」といいます。扁桃炎の時には、この口蓋扁桃が腫れることが多いです。
扁桃炎は、細菌感染の事が多いですが、のどに強い痛みや高熱を生じ、ひどくなると、飲食も痛みで難しくなる場合もあります。
様子をみていると悪化することも多く、早めの病院受診をお勧めします。

扁桃炎の場合、細菌感染の頻度が高く、抗生剤治療が望ましいことが多いです。
お薬の治療以外では、のどの炎症をひかせるお薬を蒸気化したものを吸っていただくネブライザー治療なども有効です。
扁桃炎は一度なると繰り返しやすい病気であり、年に数回以上扁桃炎に罹患され困っている方には、手術(口蓋扁桃摘出術)で口蓋扁桃を摘出するという選択肢もあります。
(手術に関しては、合併症として、術後の痛みや出血のリスク等がありますので、1度の扁桃炎で摘出をおすすめすることはありません)

病気には、突然なることが多く、忙しくてなかなか受診できないこともあるかと思います。そんな場合に、自宅に痛み止めが残っていて、痛み止めを飲んでしのぐ方もおられるかと思います。風邪のようにウイルス感染の場合は、ご自身の免疫力で自然治癒することもありますが、痛みの原因が扁桃炎の場合、細菌感染の事も多いですので、抗生剤を使用しないと重症化することがあります。のどが痛いときに病院受診まで痛み止めを使われることは問題ないですが、特に何日も症状が悪化しているのに痛み止めだけで耐えしのぐというのは、重症化のリスクがありおすすめしません。特に、扁桃炎は繰り返し起こりやすい病気ですので、これまでに扁桃炎になったことがある方で、のどが痛いときは、重症化を防ぐため早めの受診をおすすめします。

扁桃炎に関しては、喫煙は発症のリスクとなるといわれています。扁桃炎をくりかえす方で現在喫煙をされている方に関しては、禁煙を推奨します。
喫煙歴がない方に関しては、普段から免疫力を落とさないように規則正しい生活をすることはよいですが、なかなか抜本的な対策は難しいです。
扁桃炎を繰り返しお困りの場合は、手術などの選択肢もありますので、状況に応じて相談させていただき、必要時は手術のできる病院に紹介をさせて頂きます。

扁桃炎が重症化すると、扁桃腺の周りにも炎症が波及し扁桃周囲炎となり、さらに重症化すると、扁桃の周囲にうみがたまる扁桃周囲膿瘍となることがあります。
扁桃周囲膿瘍まで重症化すると、たまったうみを出す処置が必要であったり、点滴の強い抗生剤での治療が必要になったりします。扁桃炎に関しては、重症化しないように早めの治療開始が重要です。

のどの違和感

のどの違和感は、耳鼻咽喉科で相談を頂く症状の中でも多い症状です。
のどの違和感といってもいろんな原因があります。
風邪や副鼻腔炎で鼻水がのどに垂れ込むことも違和感の原因になります。
のどの違和感が長期に続くときの原因としては、アレルギー性鼻炎や胃酸が逆流し喉をあらす逆流性食道炎が多いです。その他には、のどのしこりなどで違和感を生じていることもあります。

のどの違和感が長く続いている時は、喉頭ファイバー検査(鼻から細い内視鏡をつかってのどの奥を調べる)を行うことがおすすめです。胃カメラと比較すると簡便で診察室ですぐに検査ができます。長く続くのどの違和感の原因としては、鼻炎や逆流性食道炎が頻度として多いですが、まれにファイバーを施行するとしこりが見つかることがあります。喉頭ファイバー検査でしっかりと調べることができますので、症状が気になる時は、是非一度受診を検討して頂けたらと思います。

声がかれる(嗄声)

喉ぼとけの中にある声帯を震わせることにより人間は発声をしています。
声帯に炎症が起こった場合や、声帯にしこりができると声がれが生じます。
声帯は口を開けても直接みることができない場所ですが、耳鼻咽喉科では喉頭ファイバー検査(鼻から内視鏡をいれてのどを確認する検査)を行うと声帯を観察することができます。
声帯のしこりには良性で特に声をよく使う人に出来やすい声帯ポリープや声帯結節などの病気もあれば、悪性の喉頭がんという病気もあります。
声がれが長く続く場合は、一度受診をご検討ください。

急性喉頭蓋炎

耳鼻咽喉科の病気の中で怖い病気の一つが急性喉頭蓋炎です。
のどはたべものの通り道である食道と、空気の通り道である気管の2つに繋がっています。
のどには、空気の通り道に食べ物が入らないようにする(誤嚥しないようにする)ために喉頭蓋というヒダがあります。喉頭蓋に細菌感染を起こしてしまい炎症により腫れる病気が急性喉頭蓋炎です。喉頭蓋が腫れると、空気の通り道を塞いでしまうため、最悪の場合、窒息のリスクがあります。
急性喉頭蓋炎かどうかは、喉頭ファイバー検査で診断ができます。
この病気の場合は緊急性を伴います。特にのどが痛くて飲み込むのもつらい上に息もしづらいという症状がある場合には、急性喉頭蓋炎の可能性があり、早期に病院を受診していただくことをおすすめします。(当院でこの病気を診断した場合は、早期に総合病院に紹介させていただきます)